江戸日和 01 江戸日和 01
江戸日和

260年にわたり天下泰平が続いた江戸時代。文化が大きく花開いたこの時代に育まれた美意識や洒落、そして遊び心は、今も私たちの暮らしに息づいています。「江戸日和」は、東京・小石川で創業したきものやまとが、「江戸」をテーマに〈きもの〉〈帯〉〈装身具〉をつくり上げる企画です。伝統に現代の感性を重ねることで、「新しい価値」と「気づき」を届けます。 2026年秋冬のテーマは「歳時記 冬」。江戸の冬が持つ趣を、装いにそっと映しました。

江戸日和 02
江戸日和 03

きもの  歳時記 冬

雪遊びや雪持ち椿、冬から春へと移ろう景色を描いた浮世絵など、江戸の人々が愛でた冬の情景や趣を映しながら、一つひとつの意匠をかたちにしました。白うさぎが顔をのぞかせる遊び心や、装う文化を彩った江戸の化粧道具のモチーフも織り交ぜ、冬の暮らしに息づく美意識を表現しています。江戸の冬の趣を装いに込めた、きものやまとならではの秋冬の着姿をご提案します。

江戸日和 04
江戸日和 05
江戸日和 06

  着姿を調える

今でこそ、着姿の中心となる帯ですが、昔は細い帯で結ぶだけでした。現在の帯の原型は江戸時代に完成したとされ、太鼓結びは1813年、江戸亀戸天神の太鼓橋が再建落成された時、それにちなんで深川の芸者が結んだ帯の形が元と言われています。江戸を感じる色柄をモチーフにした帯を楽しんでいただきながら、粋な着こなしができる「ぶっちがい」「だらり文庫」という巻き方をはじめとした表情豊かな帯結びを提案します。

江戸日和 08
江戸日和 07 江戸日和 08
江戸日和 09

装身具  感性の象徴

日本の装身具の歴史は、江戸時代にもっとも豊かで多様化しました。1831年頃に金具つきの帯〆が登場したことをきっかけに「帯留」はセンスを発揮する装身具として広まり、髪飾りも身分を問わず櫛の着用が一般化し、鼈甲・木地蒔絵・象牙・真鍮など素材もシンプルなものから華やかなものまで多彩に展開しました。装飾品を慈しみ身につける日本人の細やかな感性が浮かび上がります。今回は秋冬の装身具として、江戸時代に生まれた花札に妖怪を描いた帯留や、深い赤の印籠根付、タッセル付きの簪を展開。それに合わせて、髪型は女性の毛流れを美しく見せる「フィンガーウェーブ」を取り入れ、まとめあげるスタイルに。懐かしくも新しい表現をしています。

江戸日和 11
江戸日和 10 江戸日和 11
江戸日和 12
江戸日和 13

明け六つ「身支度」


小紋 江戸めくりと化粧道具 真紅

江戸日和 14

空がほのかに白みはじめる冬の朝。鏡の前で紅をさし、櫛で髪を整えたら、お気に入りのきものにそっと袖を通します。

紅色の地に、冬の気配を描いた絵札が散りばめられた小紋。八掛には、きものよりも華やかに化粧道具や装身具が描かれ、装いに遊び心を覗かせます。帯の前柄には、江戸で流行した盆栽の椿。あえて後ろ側に通した白うさぎの帯留と印籠根付が、粋な趣を添えます。外に出るとき、裾を紐でたくし上げるのは江戸の女性のたしなみ。現在のおはしょりの始まりといわれています。

江戸日和 15
江戸日和 16
江戸日和 17

昼四つ「一休み」


浮世絵きもの 亀戸梅屋敷と化粧道具

江戸日和 18
江戸日和 19
江戸日和 21

歩き疲れたら、茶屋でひと休み。 湯気の立つお茶とともに味わう甘味は、江戸の人々にとって小さな楽しみでした。

きものは、梅見の景色を描いた歌川広重「名所江戸百景・亀戸梅屋敷」を描いた一枚。浮世絵の赤・緑・生成りの色調に合わせ、帯まわりや羽織には桃色や江戸らしい抹茶色を重ねています。梅の木に絡まる一反木綿を描いた花札の帯留で、装いに遊びを添えて。江戸の古地図柄の巾着を携えたお出かけの日、柔らかな大福を頬張りながら過ごすひとときは、冬の散策をより豊かにしてくれます。

江戸日和 20 江戸日和 21
江戸日和 22
江戸日和 23

昼八つ「雪遊び」


浮世絵きもの 亀戸梅屋敷と化粧道具

江戸日和 24

ちらちらと雪が舞いはじめると、いつもの景色もどこか特別なものに。たすき掛けをして雪を丸めたり、雪うさぎを作ったり──冬ならではの遊びに、自然と笑みがこぼれます。

そんな雪遊びを楽しむ、元気な江戸っ子をイメージした装いです。グレー地に冴えた赤と緑が映える浮世絵のきものに、家紋柄をあしらった半巾帯を合わせました。黒地と白地の両面を使える半巾帯は、立体的な文庫結びで粋な雰囲気に。かっぱを描いた花札の帯留や、オレンジや赤の差し色が、装いにいきいきとした表情を添えます。

江戸日和 25
江戸日和 24
江戸日和 26
江戸日和 27
江戸日和 28

夕七つ「帰宅」


小紋 江戸めくりと化粧道具 真紅

江戸日和 29

日が傾きはじめるころ、家路を急ぐ──それが江戸の日常でした。道すがら、ふと目に留まった椿をひと枝手に取り、夕暮れの景色とともに持ち帰る。冬の一日の、静かな締めくくりです。

紅色のきものに、雪が降り積もった雪持ち椿を描いた名古屋帯を合わせました。帯留には、夜に姿を現す猫又を描いた花札の帯留を添えています。黒地に絵札を散りばめた小紋を、可愛らしい梅結びの飾り紐を付けて仕立てた被布衿コートで重ねて。冬に似合う、あたたかな装いです。

江戸日和 30
江戸日和 33