久留米絣は、「筑後川」の豊富な水に育まれた福岡県筑後地方で生まれ、約200年もの歴史を持つ木綿の着物です。ときは江戸時代、1800年頃、久留米城下に住む井上 伝という当時十二歳の少女のひらめきから久留米絣は生まれたとされています。井上 伝は、幼い頃から織り物をはじめたこともあり、この頃すでに城下町で上質な織物を制作する腕があったといわれています。誕生のきっかけは自分の着ていた衣服にできた白い斑点。糸を解き、考え、糸束を括り防染する方法『括り』技法を発明したことで、久留米絣の初めての柄紋様が生み出されました。絣で表現される文様は、精微な作業ながらわずかな輪郭の「ずれ」が「ぼかし・にじみ」という素朴な味を引き出し、人のぬくもりを感じさせてくれます。