さんち大辞典 [ く ]
久留米絣

KURUME KASUEI

久留米絣とは

 久留米絣は、「筑後川」の豊富な水に育まれた福岡県筑後地方で生まれ、約200年もの歴史を持つ木綿の着物。愛媛県の伊予絣・広島県の備後絣とともに「日本三大絣」と言われています。絣とは、糸を染める際に「くくり」という作業で染まらない部分を作り織り上げることでさまざまな柄を表現する技法です。絣で表現される文様は、精微な作業ながらわずかな輪郭の「ずれ」が「ぼかし・にじみ」という素朴な味を引き出し、人のぬくもりを感じさせてくれます。また、久留米絣は、太宰治が、着やすく丈夫な着物として好んだことでも知られています。

久留米絣の魅力

  • 人の手のぬくもりを感じる「絣」の味わい

  • 着るほどに馴染む「風合い」

  • 家で洗濯できる扱いやすさ

  • コーディネート自由自在で飽きがこない

さあ、それでは魅力の秘密を紐解いていきましょう…。

<Index>

「絣」の味わい <ずれ・にじみ の素朴なぬくもり>

わずかな輪郭の「ずれ」が、深い味わいを生む「絣」の魅力

 技術革新が進み、細かな模様も表現できる現代に生きる私たちにとって、手作りのぬくもりを感じられる、柄の「ずれ」や「にじみ」は、とても味わい深いものに映ります。この素朴さ・ぬくもりが、久留米絣の魅力の1つとも言えるでしょう。糸を染める際に「くくり」という作業で染まらない部分をつくり、それを織りあげることで、様々な柄を表現しています。

「絣」のルーツ

 絣のルーツは、インド・インドネシア・スマトラ等の「イカット」が起源とされています。海を渡り、琉球から奄美群島を経て日本に伝来したと言われています。日本における絣の発展は、14世紀の琉球さんちにあります。琉球王府への貢納布として、王府が図案を考案、各島々に発注、年貢として納めさせました。その後、時代と共に様々な図案が考案され、技術進化を促進しました。

着心地の良さの秘密

着るほどに馴染む、強くて優しい生地

 木綿着物は、吸水性や通気性がよく、肌にまとわりつかずに「サラリ」とした着心地で、カジュアル着物の定番として多くの人に親しまれています。その秘密は、木綿の「糸」や、各産地が長年培ってきた技によるものが多いですが、「着れば着るほど自分の体に馴染んでくる」と言われます。デリケートな正絹に比べ、木綿着物には強さもあり、ご自宅でも洗える扱いやすさも魅力の1つ。また、木綿の持つ「手仕事のぬくもり」を感じさせてくれる素材感は、他の素材には無いナチュラルな印象を与えてくれます。

柔らかな印象を与える「糸」

当社の久留米絣には、
経糸(タテいと)に40双糸(よんまるそうし)、緯糸(ヨコいと)に21スラブ糸を使用しています。

□ 40双糸は「強度としなやかさ」を両立させてくれる糸です。
※双糸とは2本の糸を撚り合わせた糸のこと。糸の強度が上がり、生地は滑らかな触り心地です。

□ スラブ糸とは、1本の糸の中に太・細の部分があり、「糸の太さにわざとムラをつけた糸」です。
※スラブ糸を使用することで、織物の風合いに変化を与えることができ、柔らかい印象になります。

風合いを生む「天日干し」

 久留米絣は、製品になってからの縮みを軽減させるため、生地を湯通しして収縮させてから天日で乾かします。天日で乾かすことで、反物への負担が少なくなり、ふんわりと柔らかな風合いになります。

さんち <福岡県南部 筑後地方>

綿や藍の栽培に適した「筑後川」流域の筑後地方

 久留米絣 誕生の地である福岡県南部の筑後地方(久留米市は筑後地方最大の都市)は、九州最大の「筑後川」の豊富な水により育まれた豊かな土壌に恵まれ、古くより綿(ワタ)や藍の栽培が盛んでした。そこで、身近で手に入りやすい綿を使い各家庭で綿織物が作られ、丈夫な作業着として用いられてきたといった背景が久留米絣誕生の地にはあります。このように、織物と、さんちの風土には、密接な関連があることがうかがえます。
 また、久留米という地名は、室町時代から文献に見られます。その語源には諸説ありますが、大陸から渡来した機織りをする人々がこの地に住んでおり、「呉部/ 繰部(くりべ)」の地、あるいは、「呉女(くれめ)」「繰女(くりめ)」が訛って「くるめ」になったとも言われています。

少女のひらめきから生まれた着物 <久留米絣 誕生秘話>

久留米絣のはじまり

 ときは江戸時代、1800年頃、久留米城下に住む井上伝(いのうえでん)という当時十二歳の少女のひらめきから久留米絣は生まれました。井上伝は、幼い頃から織り物をはじめたこともあり、この頃すでに城下町で上質な織物を制作する腕があったといわれています。誕生のきっかけは自分のきていた衣服にできた白い斑点。糸を解き、考え、糸束を括り防染する方法『括り』技法を発明したことで、久留米絣の初めての柄紋様が生み出されました。
 伝が発明したきもの地は『加寿利』として市場に出され好評を博しました。『加寿利』の意味は、『加』加える、『寿』縁起の良さ、『利』は利益=商売繁盛。さらに彼女は、後継者の育成にも力をそそぎ、門弟は400人以上になり、多くの人に技術を伝承して産地の繁栄に貢献しました。
 また、筑後藩の藩主は代々質素倹約を第一とし、領民に絹の着用を禁止。藩主自らも綿織物を着用しました。このことも、久留米の綿織物がさかんになる要因となったと言われています。
 のちに、絵柄を表現する「絵絣」を考案した大塚太蔵、緻密な柄を生む「織貫技法」を作った牛島喜次郎など、技法の改良をする者たちも現れ、今のような美しい絣柄の着物へと育っていきました。この絣技術は、他さんちにも影響を与え、大島紬の特徴でもある締機を考案した永江伊江温氏も、久留米さんちへ技法を学びに訪れています。

久留米絣の出来るまで <生産工程>

久留米絣の主な工程

 久留米絣が出来るまでには、約40 もの工程があります。図案・くくり・染め・織りなど、それぞれ分業化されており、一人ひとりの仕事への取り組みが大切です。現在、コンピューターで便利にモノがつくれる世の中であっても、生き物である「糸」を扱い、手作業を介する久留米絣には、狙っても生み出せない、素朴な味が生まれます。

1 デザイン~下絵・図案

絣の特性を理解した上でデザインを決めます。経糸と緯糸、地糸と絣糸の配分を計算し、専用用紙へ書き込んでいく緻密な作業です。糸の伸縮率を考慮して作成する必要があります。

2 緯はえ(整緯)・経はえ(整経)

<緯はえ/整緯>…柄の長さに沿って緯糸(ヨコ糸)を準備します。
<経はえ/整経>…柄によって経糸(タテ糸)と地糸の本数を割り出し、糸の伸縮率も計算した上で整経します。

3 くくり

柄として表現される部分を「くくる」ことで防染します。くくりの方法には、古くからの手括りと、図案に沿って括る機械括り、経糸を機にかけ緯糸を織り込むことで防染する機締があります。

4 染め

主に、藍染め・化学染色・脱色染色といった3種の染色技法が用いられています。

<藍染め>…古来より久留米絣で用いられてきた染色技法。乾燥・発酵させた藍=「すくも」を藍甕の中で木灰汁、貝灰、酒、水飴を加えて2,3 週間かけて「藍建て(不溶性のすくもをアルカリ溶液で還元、染色可能な水溶性にする)」、四本一組の藍甕に薄い順から糸を浸して染色します。絣括りの中に色が染みないようにするには、職人熟練の力加減が必要です。

<化学染色>…明治時代に輸入が開始した化学染料によって、赤や黄、緑などの差し色が可能になりました。和服から洋服へと変化した人々のライフスタイルとともにデザインの傾向も多様化、現在では伝統にとらわれない生地全体に配色された絣が多く生産されています。

<脱色染色>…地色よりも柄部分を濃く配色する場合、広範囲の括りは難しく、また染色時に色が括りの中に染みこんでしまうため、あらかじめ糸全体を染色して柄部分を括り、糸束を脱色剤に浸けて地色を落として白くする方法をとります。この手法で柄付けした絣を「脱色絣」といいます。

5 荒のり・天日干し

糸の乱れを防ぐため糊をつけ、糸の伸縮を少なくするように、引っ張った状態で天日干しします。

6 緯糸…管巻、経糸…綜絖通し

<緯糸/管巻>…並べた糸が乱れないように、ボール紙を挟んで張力を揃えながら巻き取っていきます。
<経糸/綜絖通し>…経糸を上下に分かれた綜絖(そうこう)に1本づつ通し、織りの準備をします。

7 織り

久留米では機械織も生地感を優先し、空気や液体の噴射で飛ばす高速の「シャトルレス織機」ではなく、手織りと同じように杼で緯糸を通す「シャトル織機」を使用しています。筑後地方に初めて動力織機が導入されたのは昭和9年。全国的に見て遅い導入でしたが、これは当時の動力織機では品質保持が難しかったためです。経緯を合わせる柄は機械でも難しく、織工の高い技術力が必要です。

8 整理・天日干し

<湯通し>…湯に2時間ほど浸けて生地を収縮させ、製品になってからの縮みを軽減させます。
<天日干し>…軽く脱水して天日干しで仕上げます。天日で干すことによって、生地への負担が少なく柔らかい風合いになります。
<整反>…巾や織段、傷に気を付けながら所定の長さで裁断し、四つ折りにたたんで完成となります。

LINE UP <絣柄・無地感等>

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タータンチェック 赤

66,000円(税込)

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タータンチェック 黒

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