1 デザイン~下絵・図案
絣の特性を理解した上でデザインを決めます。経糸と緯糸、地糸と絣糸の配分を計算し、専用用紙へ書き込んでいく緻密な作業です。糸の伸縮率を考慮して作成する必要があります。
2 緯はえ(整緯)・経はえ(整経)
<緯はえ/整緯>…柄の長さに沿って緯糸(ヨコ糸)を準備します。
<経はえ/整経>…柄によって経糸(タテ糸)と地糸の本数を割り出し、糸の伸縮率も計算した上で整経します。
3 くくり
柄として表現される部分を「くくる」ことで防染します。くくりの方法には、古くからの手括りと、図案に沿って括る機械括り、経糸を機にかけ緯糸を織り込むことで防染する締機があります。
4 染め
主に、藍染め・化学染色・脱色染色といった3種の染色技法が用いられています。
<藍染め>…古来より久留米絣で用いられてきた染色技法。乾燥・発酵させた藍=「すくも」を藍甕の中で木灰汁、貝灰、酒、水飴を加えて2,3 週間かけて「藍建て(不溶性のすくもをアルカリ溶液で還元、染色可能な水溶性にする)」、四本一組の藍甕に薄い順から糸を浸して染色します。絣括りの中に色が染みないようにするには、職人熟練の力加減が必要です。
<化学染色>…明治時代に輸入が開始した化学染料によって、赤や黄、緑などの差し色が可能になりました。和服から洋服へと変化した人々のライフスタイルとともにデザインの傾向も多様化、現在では伝統にとらわれない生地全体に配色された絣が多く生産されています。
<脱色染色>…地色よりも柄部分を濃く配色する場合、広範囲の括りは難しく、また染色時に色が括りの中に染みこんでしまうため、あらかじめ糸全体を染色して柄部分を括り、糸束を脱色剤に浸けて地色を落として白くする方法をとります。この手法で柄付けした絣を「脱色絣」といいます。
5 荒のり・天日干し
糸の乱れを防ぐため糊をつけ、糸の伸縮を少なくするように、引っ張った状態で天日干しします。
6 緯糸…管巻、経糸…綜絖通し
<緯糸/管巻>…並べた糸が乱れないように、ボール紙を挟んで張力を揃えながら巻き取っていきます。
<経糸/綜絖通し>…経糸を上下に分かれた綜絖(そうこう)に1本づつ通し、織りの準備をします。
7 織り
久留米では機械織も生地感を優先し、空気や液体の噴射で飛ばす高速の「シャトルレス織機」ではなく、手織りと同じように杼で緯糸を通す「シャトル織機」を使用しています。筑後地方に初めて動力織機が導入されたのは昭和9年。全国的に見て遅い導入でしたが、これは当時の動力織機では品質保持が難しかったためです。経緯を合わせる柄は機械でも難しく、織工の高い技術力が必要です。
8 整理・天日干し
<湯通し>…湯に2時間ほど浸けて生地を収縮させ、製品になってからの縮みを軽減させます。
<天日干し>…軽く脱水して天日干しで仕上げます。天日で干すことによって、生地への負担が少なく柔らかい風合いになります。
<整反>…巾や織段、傷に気を付けながら所定の長さで裁断し、四つ折りにたたんで完成となります。