ゆかた| [江戸日和]ゆかた ウマシカ,
帯|トーションレース角帯 灰緑,
三分紐|小桜三分紐 憲法茶


ニコニコと穏やかな笑顔でゆかた姿もこなれている安齋肇さん。安齋さんといえば、30年続いた人気TV番組『タモリ倶楽部』で『空耳アワー』のコーナーを盛り上げた、“ソラミミスト”を思い出す方も多いのではないでしょうか。イラストレーター、アートディレクターとして多方面で活躍する安齋さんですが、近年最もハマっているのはなんと、陶芸だとか。
「もともと伝統工芸とか、窯から出して気に入らないとガシャンと割っちゃうみたいな世界とか、憧れるよね。できないだけにね。だから最初は楽焼きだよ、お皿に絵を描くみたいな。でもさ、いざやってみたらすっごい面白いんですよ。本当はもっとアバンギャルドなものをバーンと作って、芸術は爆発だ!みたいにやりたいんだけどね。僕は絵が描けちゃうから、どうしてもすぐ絵を描いちゃう。作って売れなかったらどうしようって思っちゃってさ。弱気の貧乏性なんですよ」

そんな安齋さんが作る陶芸作品とは、一体どんなものなのでしょう?
「最近の陶芸は、全然わけがわからないもの。絶対に無駄なもの。例えば仏像みたいに人の役に立つものじゃなくて、これはペンギンかな、それとも恐竜かな?みたいな。プリミティブな置物です。それで展覧会をすると、自分が気に入ったものから売れちゃうんだよね。変なやつばっかり残るんだよ。それがまたね、恥ずかしながら愛おしいのよ。僕はTシャツが好きで、自分の絵柄で作るんだけど、自分で着るのはやっぱり恥ずかしいんだけど、愛おしいのよ」


ちなみにゆかたを作ったことはあるのでしょうか?
「僕はお相撲も好きなんですが、たまたま敷島という力士さんと知り合う機会があって、ナンシー関さんやいとうせいこうさんや仲間で、その力士さんのためにゆかた用の反物を作ったことがあるんですよ。もちろんナンシーさんは消しゴムを彫って、いとうさんは文章を書いて。僕はリゾッチャっていうJALのキャンペーンのキャラクターを描いていたので、そのキャラにまわしを描いて、お相撲さんにしてね。みんなゆかたに仕立てて喜んでたなあ。ゆかたを着ることってないんだけど、今回こうやってきちんと着させてもらうと、我ながら粋でかっこいいよね。これなら陶芸が似合うね。またゆかたを作ってみたいなと思いました。着るものを作るのって、自分が仕事場の机で描いた絵が、その人とお出掛けしてくれる感覚なので、誰かがそれを欲しいと思ってくれたらすっごく嬉しいんだよね」

ゆかたといえば、みうらじゅんさんと一緒に活動する『勝手に観光協会』では、旅館のゆかたを着てトークをする姿が印象的です。
「あの後はゆかたで寝て、次の日の朝、すごい乱れたままで写真を撮るっていうのが、みうらさんの中で流行ってて。本当に酷い写真だった。全く何やってんだか。彼が天才だというエピソードだね」

ゆかたを着て行きたい場所は?と聞いてみたら、お布団!と即答(笑)。4月25日より公開の映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』では喫茶店のマスター役を安齋さんが務めます。役者としての安齋さんにも要注目です。