絞りの準備の工程とスズサンについて

 長い歴史をもつ有松で、伝統や文化をリスペクトしながらも革新を続けてきた<スズサン>。やまとのオリジナル商品を手掛けてくれています。今回はそのスズサンの代表取締役会長でもあり、職人でもある村瀬裕さんに有松鳴海絞りの絞り前の準備の工程を見せて頂きました。絞りに向き合う真剣な表情とは別に、私たちの質問に目を輝かせながら、笑顔で楽しそうに丁寧答えてくれる「有松鳴海絞りひとすじ」の村瀬さんにいろいろ伺いました。

―まずは図案を書いて、絞りをデザインするところから

 「まずは木炭で図案を書きます。そしてその図案に合った絞りの技法を選んでさらに書きこんでいきます。このとき、ただ絞りの技法を選べばよいのではなく、その絞りがその図案で生きるか、表現可能かを想定してデザインを書き起こしていきます。」

三浦絞り、鹿の子絞り、くも絞りなどたくさんの絞りの台帳がどっさり。台帳には100種類の絞りがあるとか。

―絞りの全工程を賄う「影師」という存在

 「二十歳くらいにこの仕事に付いたときは、実は振袖や羽織のデザインから制作をしていました。お客様の要望を聞き、デザイン、図案を起こし型紙をつくる。当然縫製のことも分かっていないとできません。そのあと、振袖や羽織の需要が減り、絞り浴衣のデザインの仕事が増えていきました。気づけば、絞りの加工は海外で発注が主になりました。なので全工程を賄ってやるのは私くらいしかいなくなってしまいましたね。こうした、絞り全般のコーディネーターを影師(かげし)って言うんですよ。」

スズサンの名前の由来は、2代目の鈴木三郎さんがつけた鈴三商店から。新しいチャレンジをするのにあたりスズサンに。そして海外で展開するときにSUZUSANになった。

―型彫りと絵刷り

 「型紙はスズサンのデザインソースの財産です。1000枚~2000枚くらいはあるんじゃないかな?昔の和紙の型紙を今も使用するときもあります。

いまは、丈夫で劣化もしないポリプロピレンを選んで使用しています。これは使っているのはうちだけです。

ここに図案に合わせて、一粒一粒、柄を掘っていきます。

その後、型紙の上から、青い染料を刷って、絞る部分に青い目印を付けて、絞りの工程の準備が完了です。」

トントントントントン、、、力強い音で、穴をあけていきます。1シートにつき1000以上の絞りの印をつける穴を掘っていきます。

60センチほどの型を繰り返して絵刷りを行うのでずれないように手際よくできるかが大切。

 「きものから洋服のOEMにシフトしていったなかで、1992年にあった国際絞り会議で、ISSEYMIYAKEのPLEATS PLEEASEを見て、絞りに光を当てた時の美しさに感動しました。そこでオリジナルでランプ作成したところ、2006年にグッドデザイン賞をもらいました。白をベースにした絞りの凹凸感を出した陰影の美しさをモットーにしています。
 昔からある絞りの技術に、現代のテクノロジーをプラスすることで斬新な現代のものに代えるというところがスズサンの持ち味です。」

 お話を伺いながらも、迷いなく手仕事をする村瀬さんの姿に思わず見惚れてしまいました。