さんちつくりべ スワセンイ

スワセンイ

山形 米沢

スワセンイ

 山形県の南、置賜地方に位置し、「最上川」の源である吾妻連峰の裾野に広がる盆地にあるのが、上杉氏米沢藩の城下町「米沢」です。ここ米沢は、江戸時代中期、米沢藩9代目藩主「上杉鷹山」公により絹織物が始められ、現在織物のさんちとして名声を博しています。鷹山公により始まった絹織物は、この土地でものづくりを営む先人たちの創意工夫で様々な織物がつくられるようになり、現在は、着物のみならず、袴地や帯、和装小物など様々なアイテムが創作されています。スワセンイさんは、ここ米沢で、帯を中心としたものづくりを代々続けています。

作り手インタビュー

スワセンイ 五代目
諏訪慶蔵さん・章子さんご夫婦

スワセンイ 五代目 諏訪慶蔵さん・章子さんご夫婦

 100年続く老舗の織元 スワセンイさん。紬糸と木綿糸の交織でつくる、ざっくりとした優しい風合いの半幅帯をはじめ、貝紫染めの糸など色にも拘ったものづくりをしています。5代目で社長の諏訪慶蔵さんと奥様の章子さんにお話しを伺いました。

ものづくりで大切にしていることは?

帯は締め心地が大切です。締めやすさを考えた糸選びと織りにこだわっています。

 うちの帯の特徴の1つに、紬の糸を織り込んでいるものがあります。絹の紬糸、そして木綿の糸を交織でつくったりするのですが、織りの工程では、しっかりと緯糸が打ち込まれていますので、結んでシワになっても、手アイロンで治るほど、シワがとれやすいです。

いろいろな着物に合わせていただけるような色づかいを心掛けていますね。

 帯は、帯だけで見ていても、綺麗だな~と思うこともありますけど、結局、着物に合わせて素敵かどうかが大切ですよね。配色は社長の仕事ではありますが、今は現場の意見を取り入れながら、着物に合うことを前提とした色を考えてものづくりをしています。また、柄の大きさなども、実際に結んだ時に、お太鼓として見える柄の大きさなどを計算して、いかに着姿が美しく見えるかを大切にしながら、帯をつくっています。今回、やまとさんのオリジナルも作らせていただいていますが、私たちの発想にはない色使いだったりと、コラボレーションすることで大変参考になりましたし、これからのものづくりにも活かしていけると思います。

 柄は、私で5代目となるのですが、代々受け継がれてきた意匠など、参考になるようなものもたくさんありますので、それを基にしながら現代に合うようアップデートさせています。

着姿が美しく見えるよう計算して柄の大きさを決めています。また様々な着物に合わせやすい配色に拘ります。

着姿が美しく見えるよう計算して柄の大きさを決めています。また様々な着物に合わせやすい配色に拘ります。

スワセンイさんに織っていただいている、やまとオリジナルの名古屋帯。

スワセンイさんに織っていただいている、やまとオリジナルの名古屋帯。

題字は、想いを込めて1枚1枚書いています

 うちの奥さんは、昔から書道をやっていて、工房の裏で書道教室もやっているんですよ。学校の卒業証書など生徒さんの名前を1人1人書いたりすることもあります。今はデジタルで書も印刷できたりしますけど、やっぱり1枚1枚手で書いたものには、心がこもりますよね。

書をはじめて50年ほどになるそう。商品につける題字を全て筆で描いています。

書をはじめて50年ほどになるそう。商品につける題字を全て筆で描いています。

織り上がった商品に、愛情を込めて題字をつけていきます。

織り上がった商品に、愛情を込めて題字をつけていきます。