Q. ものづくりの「こだわり」は?
着る方が主役。着ることにより魅力が100になれば良いですね。一言で表すならば「引き算の美学」でしょうか。
決して着物が主役なのではなく、その着物を着た方が主役となるものづくりを心掛けています。お召しになられる方が素敵になるサポートが出来ればという気持ちを大切にしています。華美に色柄を足して着飾るようなものではなく、うちの着物が30だったとしても、お召しになることによって100になれば良いと思っています。
また、言葉が適しているか分かりませんが、うちの着物はあくまでも「白飯」でいいと思っています。白飯は、肉にも合うし、魚にも合う、もちろん漬物にだって。しかも白飯自体がすごく美味しければ、まわりも更に引き立ちます。そういう存在でありたいと思っています。
私たちの世界では「引き算の美学」という言い方をするのですが、このような、ものづくりを常に意識しています。
今は便利なデザインツールもありますが、私はいまだに手描きに拘っています。
今では、各さんちでも図案や下絵の制作にはデジタルのデザインツールを使ったりしていますが、私はいまだに手描きで描くようにしています。例えば七宝の柄を10個描くとなれば、デジタルならばコピー&ペーストで楽に出来ます。一方、手描きの場合、間違えたらまた一から作り直さなくてはいけないし、同じように描くというのは結構時間もかかります。しかし、そこにはデジタルにはない手描きならではの「味わい」というものが宿ります。ですので、いまだ私は手で描くようにしています。
図案は全て手描きでつくられています。この図案の段階で、配色など染め上がりのイメージは頭の中にあります。