私にとっての最初の大島紬との出会いは、18歳か19歳の頃、母から買ってもらったアンサンブルの大島でした。私が子供の頃はお転婆でじゃじゃ馬だったから、母に子供の頃にお花とかお茶とか習いに行かされていたんです。母も農家で一生懸命働いて、お正月にはご挨拶周りをするのに、着物を私に着せてくれていました。18歳くらいになった頃に、ちゃんとした絹の着物をと、買ってくれた初めての絹織物が、大島紬でした。その頃は、大島紬って名前は聞いたことはあっても、どんな着物なのかは良く分かっていませんでした。
その時に、別によいものではないんだけど、濃い赤紫色のウールの帯を母が織ってくれて、大島紬に合わせてくれたんですよ。
それから数十年が経ち、アンサンブルの大島紬をコートに仕立て直したり、洋服の羽織ものにも作り直しました。それを母が入院した時、病院でパジャマの上に羽織るのに軽いからと、その大島紬で作った羽織ものを持って行ってあげたら、昔、私に買ってくれたことを覚えていたんです。
私の母はもう100歳を超えているんですが、その大島の着物の話になったら、元気になっちゃって、「やっぱり大島紬って良いわね~」「ほんとに良いものは買っておくもんだね~」なんて。あれだけの年齢になっても、着物の話になると女の子になっちゃうのね。
こうして何十年も経って、また形を変えて自分のところに帰ってくるって、大島紬ならではのことなんだろうなぁって思います。
お花を育てたり盆栽が好きで、人にもお花にも愛情を注ぐ柏高島屋ステーションモール店 牧山 丈子さん。